支那事変中に多くの艦艇に装着された防弾板ですが、その装着方法は大きく2つあります。
1つ目は引っ掛ける方法です。この方法は初春型の「防弾装置新設図」という史料に記載されている方法で、防弾板の裏についているフックのようなものを羅針艦橋の場合にはジャッキステーに、機銃座や上部甲板上の場合には手摺りに引っ掛けます。
2つ目の方法は、羅針艦橋にジャッキステーが無く、1つ目の方法で装着できない場合に使われます。この方法は、防弾板の上部両端に空いた穴に鋼索を通し、それを羅針艦橋の窓枠の上から吊り下げ、吊り下げた防弾板の下部、または上部と下部の両方を他の防弾板と一緒に固定します。
また、「峯風型の防弾板」で紹介している島風のように、ボルトで直接防弾板を装着している艦もありますが、現時点でその装着方法が見られるのは島風のみです。
ボルトの使用自体は、他の艦でも見られるのですが、多くは防弾板と防弾板を繋ぎ止めるのに使用しています。
参考文献・参考資料
・(1998)『陽炎型駆逐艦』「メカニックス」学研パブリッシング.
・遠藤昭(1998)『戦前船舶』「日本軍艦の時代考証」戦前船舶研究会.